先日のこと。
スーパーで購入した鮎を、さも釣り上げたかのように渓流にて串焼きにしてみた。
ついでに買った焼き鳥さんも盛大に串焼きにしてみた。
キャンプ飯をしようではないか!道具を買おうではないか!
と発作的に思いつき、こうして友人をまきこんだというわけである。
友人は真っ昼間からお酒をふくみ、顔を赤くして実に上機嫌であった。
【昔話】手抜きキャンプ飯もエジプト横断も変わらへんかった話
そういえば昔、椎名誠みたいな歳のとりかたをしたいものだなあと思っていた。
旅レポや小説を書き、無人島にてヘンテコリンな仲間たちとキャンプする、といった猛烈なるインドアアウトドア芸風オジサン生活に細い目をして憧れていたものだったなあ。(←たしか彼はこんな文体だった)
学生の頃は、車で寝泊まりしながら本州をぐるぐるドライブして旅したこともあった。
旅の前半は友人も自分の車で合流して、ご当地のうまいものを一緒に食べたり、祭りをのぞいたりした。
それから友人は先に帰って、僕はそのまま日本海側あたりをドライブしていた。
ある日、夕食を食べるために道の駅にふと立ち寄ったところ、そこに流れていた演歌に僕は猛烈なさびしさを覚えてしまった。
あっというまに帰宅した僕は、それ以来長期にわたる一人旅をするということもなくなってしまった。
シリアからエジプトまで横断したときも、インドに滞在したときも、すべて一人旅ではなかった。
どこへ行くかよりも、誰と旅するかのほうが、人生の楽しさを決定してくれる。
たぶん、そんなことを感じていたのかもしれない。
ビジネス本なんかによく『職業ではなく、理想のライフスタイルを考えてそれにむけて努力しよう』みたいなことがよく書いてあるけど、僕にとって理想のライフスタイルは、もっと具体的な、誰かと生きている時間のことである。
一緒にいて楽しめる人と、いまここを楽しむこと。
目指したいところがあるなら、その道中を楽しむこと。
何かに夢中になれたり、誰かと遊んだり、いまここを生きていくことができれば、その道中も目的地にたどりついたときも、ぜんぶしあわせな時間なんだと思う。
渓流にてそのまま夜をむかえた僕たちは、気がついたらとんでもない数のホタルを目の当たりにすることになった。(ほんとの話)