もしもあなたの部屋の窓の外から、モクモクと黒い煙が異常にたちのぼり、バチバチという火のはぜる音がやかましく聞こえたら、火事かもと疑ったほうがいい。
まさに、この僕がそうであった。
ある日、部屋でゴロゴロしていると、ご近所がさわがしいので、窓の外に目をやった。
ご近所がさわがしいときは、だいたい何かあるので外をのぞきこんだようがよろしい。
前回、さわがしかったときは約10年前のことになるが、当時は家の塀の上に、大きなサルがすわっていた。
だが今回は、窓の外からはもくもくと黒煙がたちのぼっていた。
火事である。
ほどなくして消防車が到着し、消火活動がはじまった。
しばらくして、我が母がドタバタと帰宅した。
それから母はドタバタと家じゅうを駆け回った。
家の前が通行止めになっていて煙が立ち上っていた様子から、どうやら家が火事かもと思ったらしい。
水をかけどもかけども炎は止まらない様子であったが、徐々に鎮火していった。
僕やご近所さんは、ただただ、事の成り行きを見守るしかなかった。
とにかく、ただただ見まもるよりほかないので、現在仕事中であろう友人にこのことをLINEで知らせてみた。
ご想像いただきたい。
もしも、あなたが仕事中に、友人から「今、近所の家が燃えてる」というメッセージを証拠動画付きで送られてきたらどうであろう。
おそらく、とりあえずビックリしたのち「逃げてください!」と返事するにちがいない。
どうやら建物が燃えた以上の被害はなかったようで、その点においては不幸中の幸いであったと言えよう。
それから数日後。
僕が住む地元名を、検索欄に打ち込むと
「地元名 火事」
と検索キーワードの候補に「火事」というワードが出るほどにウワサになっていた。